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 長崎川棚医療センターの脳神経内科で診療している患者さんの多くは、神経難病の患者さんです。神経難病には、重症筋無力症、脊髄小脳変性症やパーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病)、筋萎縮性側索硬化症、多系統萎縮症、副腎白質ジストロフィー、多発性硬化症、ハンチントン病、スモン、筋ジストロフィー、プリオン病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、およびモヤモヤ病などがあります。

 神経難病においては、病歴や症状、および神経学的所見に基づいた診断のみならず脳MRIなどの画像所見、脳波や筋電図等の電気生理学的所見、筋生検所見、遺伝学的所見などにより診断を確定します。当院は神経難病の代表的疾患であるパーキンソン病においては、長崎県で最も多くの患者さんを診療しています(2020年度DPC統計より)。また、パーキンソン病の治療では、脳神経外科と協働して深部脳刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)を行っている長崎県唯一の施設です。

 現時点では、神経難病には特効薬がありません。疾患の進行度や症状に応じて適切な薬物を処方します。しかし、進行を止めることは難しく、歩行障害などの運動障害、嚥下障害、呼吸障害、排尿(排便)障害、認知障害等が出現し、介助や介護が必要になります。重症の場合は、胃瘻による栄養管理や人工呼吸器による呼吸管理が必要になることもあります。症状の進行度合いは疾患によって幅広く、数年から10年以上にわたるため、早期に診断し適切な時期に適切な治療介入をすることが重要です。

 診療体制としては、神経難病全般の診断・治療のみならず、在宅療養中の神経難病患者が急病の際は、24時間・365日受け入れができる救急体制を整えています。また、レスパイト入院や長期療養(療養介護)に対応する体制も整っており、診断後も長期間、患者さんやそのご家族に寄り添った診療を行っています。

 当院の神経難病診療の特徴であり役割は、「診断のみならず長期間におよぶ疾患の経過を診ること」、「経過に伴う併発症を診療すること」、「在宅療養を継続できるよう支援すること(社会資源の活用など)」、「人工呼吸器管理など医療依存度が高い患者さんの療養支援をすること」、そして得られた知見をまとめて「社会に情報発信すること」等があげられます。特に、重症筋無力症においては、臨床研究や治験を行い、情報発信しています。

 私たちは、神経難病の患者さんがより良い生活が送れるように、そしてまた1日でも早く特効薬が患者さんのもとに届くよう、日々の診療および研究に取り組んでいます。